会長ブログ

頭蓋静圧療法とALS(筋萎縮性側索硬化症)

みなさんはALSと言う病気をご存知ですか?聞いたこと無いなあ、という方が大半だと思います。つい最近、この病気を患った若者を描いたTVドラマが始まりましたので、「ああ、あの病気?」と思われた方もあるかもしれません。

この病気は正式には「筋萎縮性側索硬化症」と言い、今のところ治療法が無く、難病とされているのものです。じつはこの病気には忘れられない思い出があるのです。

 

今から10数年前、ALSの患者さんに頭蓋静圧療法を施術したことがあります。その方はエジプト人の富豪で、ALSを治すために世界中の治療を受けていました。まずドイツで最新の現代医療を受けたのですが、効果がなく、それなら中国で漢方治療はどうかと試し、良い結果が出ず、その後気功治療もやってみたけれど、これも全く効果なし。そうしている間に症状はどんどん進行して行き、ほとほと困っていたところに頭蓋静圧療法をやってみては、と紹介されてきたのでした。

 

施術のために約束した場所へ訪ねてみると、予想以上に大きな身体の男性が力なくベッドに横たわっていました。身長は180?以上あり骨格もガッシリしています。頑丈そうな体つきにもかかわらず、この時すでに自分で座ることも立つことも出来ず、ほとんど寝たきりに近い状態でした。

その男性の頭に触れてみると、生きた人間の頭に触れている感じがしません。それはまるで薄いガラスを触っているようで、少し力を入れたら割れてしまいそうな、脆い印象を受けました。そのため足からアプローチを始めることにしました。

身体が動かないだけで意識は明晰で話も出来ましたので、今まで治療してきたことや身体の状態について聞きながら進めて行くことになりました。

話してみると男性は治るのをあきらめている様子でした。それはそうです。裕福な方ですからお金に糸目をつけず、ありとあらゆる治療を受けてから、私のところに来られた方です。これまで全く良くならなかったのだから、今度もきっといい結果なんか期待できないだろうという気持ちを見て取ることが出来ました。

始めは全く信用してくれている様子ではなかったのですが、動かなかった身体に変化を感じると、諦めかけていた気持ちに「もしかしたら、治るかもしれない」という希望が生まれ、絶望して力の無かった目に輝きが出てきたのでした。

数日の間隔を空けながら施術を続けて行くと、3回目の施術が終わる頃にはベッドの上で上半身を起こすことができるまでになっていました。

 

それから何回かの施術を行っていたある日のこと。いつものようにエレベーターに乗り、目的の階に到着してドアが開くと、なんとそこには起き上がることさえ出来なかった男性がいるではありませんか。廊下の壁に手をつきながらも自分の足で立ち、こちらに向かって歩いて来たのです。伝い歩きでゆっくり私の目の前に来ると、大きな身体をしたその男性は、いたずらっ子のような嬉しそうな笑顔を見せてくれたのでした。その後、男性は自分の足で歩いてエジプトに帰って行きました。

頭蓋静圧療法は、通常では考えられない驚くような結果を見るケースがあります。しかし頭蓋静圧療法が病気を治したのではありません。人に備わる治す力、自然治癒力を最大限に引き出した結果、自分で自分を治すことが出来たのです。

人には驚くべき能力が備わっていることを、このエジプト人男性からも教えられたのでした。

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